読んだ本

読んだ本の感想を書いていきます

すべてがFになる

間が空いてしまいましたが、2冊目はこちら。

すべてがFになる』 森博嗣

 

 "孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。"(amazon商品紹介より)

森博嗣さんのデビュー作でありながら、漫画化やアニメ化されているバケモンミステリー小説です。

私もアニメでうっすらと観てました。しかし途中まで。

なんとなくのストーリーや犯人が誰かというのはわかっている状態で読ませていただきました。

ネタバレ状態で作品を楽しむということはあまりしないんですが、そんな私でもどんどんと物語に引き込まれていきました。

内容についてはあまり多くは言わないようにしたいと思いますが、解決編とでも言うのでしょうか、物語の終盤は就寝予定時刻を大幅に過ぎてしまうほどのめりこんでしまいました。

このストーリーを考えつく森さんは何なんですか?バケモンですか?

 

また犀川先生の思考というか考え方もステキですね。

萌絵に対して「思い出と記憶ってどこが違うか知っている?」と尋ねた犀川先生の答えは、

「思い出は全部記憶してるけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」 

 くぅ~~~~~~~

ここ数年、新しく出来た友人たちとエモいことを多くやるように心がけています。

そういうこととか学生時代の部活で起きたこととかっていつまでも覚えているもんですよね。

そして、そういった「思い出」がとてつもない財産だって気づき始めました。

 

さらに、犀川先生の時間に対する捉え方を説明する、

Time is money なんて言葉があるが、それは時間を甘く見た言い方である。金よりも時間の方が何千倍も貴重だし、時間の価値は、つまり生命に限りなく等しいのである。 

 わかりみしかない。

時間を金で買ったりするし、時間を切り売りして金にしたりするけど、それは命があってできることで、それはつまり時間を与えられているからであって。何言ってるかわかんなくなっちゃった。

でもまぁ、上記の「思い出」にも通ずる話で、「思い出」も「時間」のかたちの一つであるはずで、金なんかより果てしなく大切なものですよねってお話です。

 

ストーリーの本筋からはだいぶ話がそれちゃいましたね。てへぺろってやつです。

なにはともあれ、作品の終わり方がとてもステキ。犯人のスマートさというか、いい意味で狡猾な感じがなんともたまりません。

私のミステリーとかサスペンスの出会いは『金田一少年の事件簿』だと記憶しているのですが、そこに登場する「高遠遙一」というライバル的存在がいまして。

最後はその高遠を彷彿とさせるような場面が描かれており、「はぁ~~ん」となってしまいましたね。(語彙力)

 

文章も読みやすくスイスイ読め、それでいて内容の濃さ、読後感、この作品を読んだことは私の「思い出」になるでしょうね。